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原告 福岡・平島龍磨さん

障害者自立支援法訴訟 福岡地裁第1回口頭弁論  意見陳述〜原告の思い  報道するRKBテレビ新
   第2つくしの里 平島龍磨  報告集会で発言する平島さん

 僕は平成19年3月13日(火)に、通所授産施設第2つくしの里に入所しました。
 障害者自立支援法が施行してから施設へ入所したので、応益負担の事は全く不勉強で、初めは利用料のことを月謝と思っていました。
 ところが、施設の仲間や職員達の話を聞くうちに、障害者自立支援法は障害者の生活を苦しめるとんでもない悪法だとわかってきたのです。

 僕の場合は現在のところ、身体障害者手帳の6級で障害基礎年金が認められていないので、僕の収入は第2つくしの里からの月8000円〜9000円の工賃と、10月から2日に1回企業実習をしている実習手当(1日2100円)です。
 11月からは、企業実習の手当が出て少し生活が良くなりましたが、10月までは利用料と給食費で月8000円くらいかかると残りは1000円弱しか手元に残らず、ほとんど何も買えずにガマンの生活をしなければならなかったのです。

 僕は35歳までは障害がなく、工場勤務などの一般就労をしていました。
 そこでの主な仕事は、フライス盤やマシニングセンターという機械を使ってステンレスやアルミニウム等の金属を切削して部品を製作する作業です。
 その職場の給料は、手取りで20万円を少し超える金額でした。
 そして何よりも働きに来ているのに利用料を払うなんて事はなかったのです。
 したがってこの障害者自立支援法はおかしいと思います。
 ただでさえ生活が苦しいのにこれ以上苦しめないで欲しい。

 ここで施設の話しをします。
 僕は第2つくしの里のクッキー班に所属しています。
 僕の主な仕事はクッキーの型抜き作業です。
 これはまず、クッキーの生地をレンジで解凍します。
 次に生地が柔らかくなるまでこねます。
 柔らかくなったら生地をめん棒で平らにします。
 この時に一度に平らにしようとすると生地がちぎれていまいますので、少しずつ平らにします。
 平らにしたらいよいよ型を使って型抜きをします。
 型抜き作業は以上です。
 お昼に販売に行きます。
 行き先は主に市役所や社会福祉協議会や、小中学校等です。
 結果はよく売れたり、いまいちだったりしますが、平均してメロンパンとチーズスティックが良く売れます。
 僕が作ったクッキーが売れるとうれしいです。
 市役所に必ずパンとクッキーを買って下さるお客さんがいて「とても美味しいよ。いつもありがとう」と声をかけて下さると、これまたうれしい限りです。
 そして外の景色を見る事ができるので気分転換になります。
 僕は販売が大好きです。

 第2つくしの里は仲間はいい人達ばかりで、いい職員がいて、仕事や活動がとても楽しいです。
 なのに、自立支援法は応益負担を取る事で仲間たちを苦しめて、こんなにも楽しい職場である施設に通所しにくくしています。
 障害者自立支援法は「名前は良いが実態は真逆だなあ。」と思いました。
 障害者自立支援法という名前は良いが、実態は真逆の悪法を相手に原告をする直接のきっかけは、昨年8月に赤松施設長から第2つくしの里の仲間に対して「こういう裁判がありますが、原告になりたい人はいますか。」という話があったのと、9月に福岡県との懇談会で、県の担当者が「『働きに来ているのになぜお金を払わなければならないのか?』という、皆さんのお気持ちはわかりますが、貴方達障害者の皆さんが施設を利用しているその事に利用料が発生しているのです」と回答したことに怒りを感じたからです。

 「僕たちは施設に働きに来ているんだ。施設を利用しているのではない。」という心の叫びと「このままではいけない。何とかしなければ。」という思いがありました。
 そこへ、赤松施設長から話しがあって「この手があったのか!」と目からうろこが落ちる思いでした。
 家に帰って家族に相談すると「大変だろうけど頑張りなさい!」と言う激励の言葉をもらいました。
 そして、原告となる決意をいたしました。10月31日に、福岡地裁へ提訴しました。

 地裁へ行く途中は居眠りするくらいリラックスしていたのですが、福岡地方裁判所のマークが目に入ったとたんにドキドキしてきました。
 会見中は何度かトンチンカンな回答をしてしまった気がしますが、他の作業所の方達が20人以上も駆けつけてくださったおかげで、あまり緊張せずに思っていた事を十分に話せたと思いました。
 例えば「僕たち仲間が安心して施設で働けるようにするために応益負担をなくす訴訟をおこす決意をしました。」や「裁判を通して全国の皆さんに障害者及び、作業所の仲間が作業をする時に少しでも環境を良くしたいからです。」等です。

 今回の裁判は、形式的には僕が九州でただ1人の原告となったわけですが、皆さんのおかげで、決して自分1人だけでこの裁判を闘うわけではないのだと強く実感しました。
 皆さんが駆けつけて下さった事を大変ありがたく思いました。
 提訴して本当に良かったです。

 僕は今40歳ですが、36歳で難病だと分かった時はとてもショックでした。それからは、生活が大きく変わりました。
 第2つくしの里に通所する以前は、毎日リハビリをかねてウォーキングやサイクリング等をしてすごしていたので、人とあまりコミュニケーションをせずに引きこもりの日々をおくっていたのです。それが、施設に通所してからは、他の利用者や職員達とコミュニケーションをする様になり、家族から「以前よりも明るくなったね。」と言われる様になりました。
 また、僕は一般就労希望者なのですが、障害者になり運転免許が更新できなくなったので、ハローワークで仕事を探すにも仕事がなかなか見つかりません。マイカー通勤できる人というのが条件の職場が多いからです。
 そのため施設で一般就労に向けて企業実習をしているのですが、利用料をこの先ずっと払えるかという不安があります。さらに今後、医療費や補そう具の負担が発生して利用料が払えなくなると、施設への通所も企業実習もできなくなり、一般就労が遠のきます。
 何よりも引きこもりの毎日に逆戻りです。
 この様に施設は僕達障害者にとって、なくてはならない大切な存在なのです。
 どうかこの応益負担を廃止して下さる様にお願い申し上げます。