フォーラム障害者とICT 2008 > 井上吉郎
伝えたいおもい、共感したい
−井上吉郎さんとICT
--- 「すべての人の社会」2008年3月号 NO333 日本障害者協議会 -----
巻頭言 伝えたいおもい、共感したい
JD情報通信委員長 薗部英夫
京都の豪傑・井上吉郎さんが脳梗塞で倒れて1年2か月余り。
6つの病院の入院を経て自宅に帰ったのは昨年の10.30大フォーラムの翌日だった。
彼は話題の映画「母べえ」の主人公・吉永小百合さんと同級だから「戦後」と同い年だ。
両足マヒ、右耳聴力なし、全体として右半身にマヒが集中している。
口は自由には開閉できない。困難の極みは嚥下障害。
15か月も飲食をしていないと「味覚細胞」の敏感さが変わるのだと言う。
その彼を支えるのは再婚後1年も経ない間に、
介護生活にとりくむ烈女の「連れ合い」さんだ。
彼は、昨年12月からインターネット上のWEBマガジン「福祉広場」で、
名コラム「編集長の毒吐録」の毎日連載を始めた。
学ぶことがじつに多い。
>厄介なのは、この闘病がいつまで続くか分からないこと。
“終わりのない旅”に出かけたようだ。
>「障害」の受容は、簡単だ。そして、難しい。
>「応益負担」についての考え方が甘い。
「益」でなくて、「生きること」そのものに関わる事柄、
例えば、寝るときの「見守り」を「私益」と捉えるのか。
「生きること」を「私益」であるかのように考えるから、矛盾がでてくる。
この春には京都で開かれる研究会で、20分の「自由研究」を発表する。
「全文を事前に文章にしておくことが、私にかけられた責務。
自分から手を挙げたのだから、がんばらなっくちゃ」
と久しぶりのパソコンソフトに悪戦苦闘しているそうだ。
*
だれかに伝えたいことがある。書きとめて、発表したいことがある。
そして、それを受けとめる仲間たちがいる。
この関係は障害者とICT(情報コミュニケーション技術)の根本ではないだろうか。
井上さん含めた、さまざまなおもい、とりくみを寄せあいながら、
5月25日、JDは「フォーラム障害者とICT 2008」にとりくむ。
ICTの利活用によって、障害があっても人生はいいもんだと実感できるような
すべての人の社会づくりにつながる運動として成功させたいと願っている。
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■吉郎さんもシンポジストとして登場することになった
「フォーラム障害者とICT 2008」の詳細は
http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/